自由律俳句結社 青穂

    会則 青穂紹介 第九回尾崎放哉賞 連絡先

      mozuneko  


◆私の感銘句◆ 2025.5.30更新 青穂56号より抜粋

 

 

福田 和宏 選

感銘の一句

オレを見ろといわんばかりのお月様           岩渕 幸弘

雲一つない空に満月だけが輝く、そんな眺めが好きで帰り道に見とれることがあるが、上手く句に出来ずにいた。
そうか、その手があったか!一度直接、お話を伺いたい。

  

 

 

感銘十句選    

人間を休んで誰かのおばけとなるハロウィン         山根もなか

裏返っているコガネムシをひっくりかえす          井上 敬雄

素数はじけて自由律の句のしずく              加藤  武

ちぎれながらも進む雲がいい                荻島 架人

コロナ禍終わり恥ずかしながら口紅             ちばつゆこ

遮断機が降りて来たような別れだ              秋生 ゆき

幸せで淋しい高齢者住宅の暮らし              橋本登紀子

レジの後ろ気になり小銭袋ひっこめる            渡辺 敬子

味のない味噌汁で朝が来る                 高鳥 城山

大海を見ず浜辺の貝殻拾ふ                 秋  津

 

汐海 治美 選

感銘の一句

シーソーの子が帰って雀が乗りに来た         きむらけんじ                  

 シーソーの子も雀も、作者にとっては清少納言に倣えば、「うつくしきもの」であり、「小さきものはみなうつくし」の世界でしょう。こどもに代わって雀が「乗りに来た」と、目を細めておられる感じが伝わってきます。

 

感銘十句選

雨あがって自転車のカゴに花入れていく          井上 敬雄

素数はじけて自由律の句のしずく             加藤  武

百日紅背後の山まで真昼の火群です            大岳 次郎            

さあさこちらへ涼やかな風を通す             ゆきいちご

満月に似合うように新芽を切る              荻島 架人

落ちた錠剤探す夜の幾何学模様              高木 架京                    

鏡に映った月まで磨き上げる               いまきいれ尚夫

刑務所に有刺鉄線は空に刺さっている           小山 幸子

芙蓉が名前の形に揺れている               吉多 紀彦

月の鼓動で女が転ぶ                   谷田 越子