自由律俳句結社 青穂

 会則  青穂紹介   第五回尾崎放哉賞  連絡先

※第八回「青穂」大会(浜松)は中止となりました。


青穂第一句集鑑賞互選互評  2021.05.08更新 青穂第40号より
 
 

 ひやしあめ屋B5一枚の閉店通知      伊藤人美

(小山貴子) 長年ご近所を相手に商売を営んできた「ひやしあめ屋」も、営業不振か高齢化なのか店をたたんだのである。ささやかであってもそこには市井に生きる人間の暮らしがあったのにたった一枚の小さな紙で閉じるとは。手書きの紙をじっとみる作者を感じる。

(高木架京)ひやしあめは九州にいる私は一度も飲んだ事がありません。主に関西のほうでは夏の定番だという事をこの句をみて知りました。作者にとっては慣れ親しんできた飲み物だったことでしょう。B5一枚を句にして、成功している事に感心しました。ひやしあめ屋とB5の対比は移り変わる時代への作者の戸惑いを巧く表現できていると思います。

 

 ガスタンクの丸みも枯れる         伊藤風々

(谷田越子)木枯しに枯れていくのは植物だけではない。人間でさえ縮んでいく心を満たそうと、あれこれ模索する。見た目はそのままでも内面までは分からない。ガスタンクさえも空になれば凹み孤独感に陥る。この意外な展開に作者の尋常ではない手法を感じ、惹かれた作品。

(小山貴子)巨大なガスタンク、通勤の行き帰りに電車の中から見ているのではと想像する。何の風情もないようでありながらいつしか馴染んだ風景も、今はすっかり冬になろうとしているのだった。「丸みも枯れる」が素敵な表現だと思う。

 

 抗った父への鬼灯買いに行く        高木架京

(谷田越子)素直に従わず抵抗し続けた親でも、歳を取り、看見取った後は、生前の良い所ばかりが思い出されいとしく思う。あふれる想いを鬼灯に代えて、急いだ道は淋しく、でも少しだけ楽しく、この道はいつまでも忘れない永遠の道だ。

(伊藤人美)お父様の霊が径に迷わぬ様に、家の門口に鬼灯を付けておく。さからい抗った父上でも、元気?で帰って来て欲しい。その娘様の心根が優しく思えた。



私は人々にかういふ。

君等が心の土に真実の種をおろせ。 

君等が生活の上に生命の木を生ひ立たせよ。

大地の力を生きることの力とせよ。

太陽の光を生きることの光とせよ。

然らば、君等が生命の木はやがて多くの花をつけ多くの実を結ぶであらう。

(井泉水著『生命の木』「芸術より芸術以上へ」)