自由律俳句結社 青穂

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青穂抄  2023.02.15更新 青穂第47号より

 

弓削 酔魚 選

 

句は遺書めいて蜩鳴く夕影の独り       後谷五十鈴

さてどうしようまっさらな一日がまた始まる  久光 良一

遺影を叱る                 田畑  剛

故郷行きの舟に乗っている 介護ベッド    楽 遊 原

良いこともあるよ猫が笑う          島田 茶々

毒まんじゅうだと解かっていて食べる     平山 礼子

わだつみの声として聞く八月の海鳴り     中村 友乙

小さな灯りだけで生きていた頃        黒崎 溪水

マンネリに溺れた              萱沼 良行

白蟻と住んで子もなく            酒本 郁也

鬼瓦がいて店番のいない雑貨屋        折口 朋子

読経して今日のひと日の無事祈る       高鳥 城山

熊蜂にボディーガードされてもねえ      小山 幸子

次の行動スマホのいいなり          大山 まる

と、気分を変えて川面みつめる鵜       小山 貴子



私は人々にかういふ。

君等が心の土に真実の種をおろせ。 

君等が生活の上に生命の木を生ひ立たせよ。

大地の力を生きることの力とせよ。

太陽の光を生きることの光とせよ。

然らば、君等が生命の木はやがて多くの花をつけ多くの実を結ぶであらう。

(井泉水著『生命の木』「芸術より芸術以上へ」)